弁護士はどう読む?―『空飛ぶタイヤ』に見る刑事事件考

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過失犯の扱い

我が国の刑法では、「故意犯」、つまり意図的に刑事事件を起こした場合が処罰の対象となるのが原則とされています(刑法38条1項参照)。もっとも、「法律に特別の規定がある場合」(同条同項但書)には、例外的に過失犯も処罰の対象となります。過失犯処罰は言わば「例外」なんです。刑法209条1項などの「過失により」という文言をみても明らかですよね。

ただし判例は、「明文なき過失犯」の処罰も認めていることに注意が必要です。旧外国人登録令に定める登録証明書の携帯義務違反、古物営業法に定める帳簿の記載義務違反などについて、明文なき過失犯処罰を肯定しています。刑法38条1項但書の文言や罪刑法定主義から考えると、個人的には判例に賛成できませんが…。

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